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三代目ブログ
2020.01.06

2020年、都内の米屋が『行うべきこと』を考える

皆さん、あけましておめでとうございます!

小池精米店・三代目、お米マイスター五ツ星の小池理雄(ただお)です。

本年もよろしくお願いいたします。

さて毎年恒例の、1年1回だけのブログ更新です(笑)。ただ単に自分の思いを滔々と述べているだけですが…最後までお付き合い頂ければ幸いです。

ちなみに…途中途中で出てくる写真は2019年の思い出。内容とはあまり関係ありませんので(笑)、悪しからずご承知おきください。

さて、米屋に本格的に取り組むようになって今年で9年目(最初の数年は前職との二足の草鞋だったので…)。毎年本当に色々なことを体験していますが、昨年も本当に多くのことを学びました。

いままで米屋を含めて3回転職していますが、最初の二つの会社ではだいたい3年やればパーッと視界が開けて仕事が順調に回り始めるものでした(難しい仕事が回ってくる前に辞めてしまっただけかもしれませんが…)。

ところが米屋はそうはいかないですね。

精米してお米を売る…だけではなく、

お米の栽培について

お米の品種について

お米の炊飯について

お米の味について

消費者の嗜好について

…ありとあらゆる切り口でお米を眺めると、まだまだ分からないことだらけです。

毎年毎年試行錯誤、七転八倒、行ったり来たり、迷いに迷ってここに至ってます。

まあ最初から答えが分かっている仕事はつまらないですし、お米については自由化されてまだ(もう?)25年ほどで、まだまだ「何もしていない業界」です。そういった意味では未開の地が多すぎて楽しい仕事ではあります。

それに悩んでいるとは言ってもそこはもう10年戦士。以前よりは売上も順調に推移していますし、仕入れも大きな瑕疵なく出来ていますし、そういった意味では幾分落ち着いて自分の立ち位置や今後の方向性、自分のやるべきこと…が見えてきているような気がしています。

今年のテーマは、ずばり

「東京の米屋だからこそ『行うべきこと』にチャレンジする」

です。

今年は2020年。東京オリンピックの年です。だからと言って「東京の米屋だからこそ云々」をテーマに掲げたわけではありません。個人的にはオリンピック期間は多少忙しくなるだろうけれど、「レガシー」なんて大仰なものはなく、一過性なものと考えているからです。

そうではなく長い目で見た時の「東京の米屋」のあるべき姿。

それは「『東京』という日本で最大のマーケットで勝負している僕らだからこそ行うべき使命」と言い換えてもいいでしょう。

ただマーケットだけで言えば、根底には「地域経済の活性化」という使命があります。それは今更言わずがもな。

僕ら米屋はお米の販売を通じて地域経済に貢献しているという自負があります。お米を販売すれば、それだけで都市のお金が地方に還流するわけです。東日本大震災の後で僕らが散々言っていた言葉「普段通りの経済活動を回すことが復興支援につながる」を、僕らはその時ばかりのパフォーマンスではなくずっと続けているのです。

そのうえで、僕らがやるべきこと…。

一つは「食育」です。

これこそ今更ですが(笑)。しかし最近、気付きました。ようやく僕も「長い目」でお米消費を眺めることが出来るようになったということですかねー。

その前に…一口に「食育」と言っても色々な定義があり、アプローチがあると思います。僕が認識しているお米についての食育とは、「お米に関心を持ってもらうこと」が最終目的だと思っています。

10年近く米屋をやっていて大事だと痛感することは「続けること」です。お米はその商品特性から爆発的に売れる、ということは(天災でもない限り)ありません。徐々に売れていくのです。実際に小池精米店の売り上げを見てみると分かります。継いでから最初の6年くらいは売り上げは上がったり下がったりで不安定でした、ここ3年くらいは今までのご縁が花を咲かせているのです。

そう、子ども達に「お米に関心を持ってもらう」活動は、人口の多い東京でこそ地道に実施すべきことです。将来「お米消費拡大」という大輪を咲かせるために、僕ら都内の米屋は避けてはいけないアクションなのです。

そしてもう一つは「プロ向け本気米」の拡大です。

これは飲食店向けに流通しているお米のことです。昔は(今も)「業務用米」と呼んでいた(る)のですが、僕が勝手に「プロ向け本気米」と名付けています。

僕が勝手につくった定義は

「売る人も買う人も、『料理』というステージで輝くことが出来るか?という視点で選んだお米」

です。一般的に消費者向けのお米よりも「業務用米」は安い傾向にあります。しかし、米屋から見るとそのような格差が生じるにはやはりそれ相応の理由があるのです。

そうではなく、作り手も流通を担う人も真剣に「何とかしてこのお米を広めたい」と願っているお米。産地で頑張っている人たちのお米をいかに太い流通で都内に流していくか。それこそが飲食店が最も多い東京にある米屋が考えるべきことだと思っています。

そのために何をするか。

具体的な話につきましては追い追いご報告するとして…。

まず「食育」については、今年はイベントや出版物、メディアも含めて諸々と関わりが出来ますし、そういった機会を存分に生かしていきたいと思います。ちなみに僕の行う「食育」ですが、対象となる子供に応じて内容を変えています。そして最初から「健康云々」「歴史云々」とか小難しい話は、無し!小学校4~6年生にはいかに「お米ってすげー」と思わせるか。3年生以下~未就学児はいかに「触る」「食べる」「担ぐ」を経験してもらうか、です。

「プロ向け本気米」については、通常の小池精米店の営業行為とは別に、特定の産地と協力して都内飲食店さんに色々とアプローチをしたいと考えています。僕が米屋を継いだころからの偶然の流れ(原宿は夜間人口が少ないため家庭用のお米の売り上げが少ないのです)とはいえ、お陰様で飲食店へのアプローチについてはかなりのノウハウを積みました。それを産地に還元するときが来たのだと思います。

もちろんこれ以外にもやりたいことは沢山あります。例えば

・外国人向けのお米イベントの開催

・お米大好き女子によるお米放談会

・お米業界の人たちの大会議開催

・お米クイズの書籍化や諸々の媒体を通じた執筆活動

・お米評価メソッドの確立、そして浸透

などなど。

…このように書くと「本業大丈夫か?」と言われますが、もちろん今年いっぺんにやれるとは思っていません…冷汗。

ただ大事なのは積み重ね。

出来る範囲でのアクションが積み重なって、いまの風景があるのです。今見ている風景は、10年前に継いだ時には想像もしなかった未来です。

そんな未来をこれからも見ていきたいから…。今年もちょこちょこ動いて参ります。

皆様、改めまして本年もどうぞよろしくお願いいたします。

そしてどうか皆様にとって良い年でありますように…。

2020年1月6日

有限会社小池精米店 三代目 小池理雄

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